2022年1月28日20:00~21:00 に、第8回 授業ラボ「高校における探究学習支援」を実施しました(開催の広報記事)。
この記事では、その開催報告と振り返りを記します。
概要
「授業ラボ」では、実際に授業されている方にご登場いただき、その方の授業をより良くするにはどうすればよいのかを検討します。敬意を持って忌憚なく建設的に検討する場として、みなさまとより良い授業について考えていきます。
今回は、授業ではないのですが、大学院生の教育力向上を支援するコミュニティにおいて実践される予定の「高校における探究教材の開発」の一環として行う講座(高校1~3年生向け)を対象としました。全5回の講座を予定しており、そのコースデザインおよび第4回「テーマに合った研究方法を考えてみよう」の詳細設計について議論しました。
ワークについては、グループワークは Zoom のブレイクアウトを用いて、個人ワークは独自に開発した LearnWiz One というツールを用いて実施しました。
資料(スライド・動画など)
講座情報
アンケート
アンケート結果の一部をこちらに記載いたします。参加者およそ45名中12名の方が回答してくださいました(Zoom が24名、YouTube が23名程度でした)。
どのプラットフォームから参加しましたか
- Zoom で参加した 12名
- YouTube で参加した 0名
参加の形式を教えて下さい
- ただ聞くだけだった(聴講)0名
- 個人ワークで参加した 9名
- グループワークで参加した 3名
ワークショップに関する評価をお願いいたします
- 大変良かった8名
- 良かった3名
- どちらともいえない1名
- 良くなかった0名
- 全く良くなかった0名
ワークショップの良かったところを教えてください
以下、全11件です。
- 探究の時間は高校の教員にとっては,とても関心がある話題です。色々な意見が聞けて,参考になりました。
- 若者の頑張りが見れました。
- あまり参加の度合いを強制されないのでよかったです。
- いつも満点券
- 多様なバックグラウンドを持つ人たちが集まっているところ。授業へのフィードバックがメタ的にも、細部もつっこんでいただけたところ。トークの時間設定も少し短すぎるぐらいがちょうどいいと思っていて、まだ話したりないという気持ちが活動へのモチベーションにつながると感じました。アフタートークもとても的確で(特に活動の持続可能性についてのコメント)参考になりました。個人的にはビジネスモデルを意識するときにどのようなことを意識しているかも聞いてみたいと感じました。
- 探究学習支援の大学生・大学院生の取組みを知ったことです。
- Learn Wiz Oneをユーザー側の立場で使いましたが,やはり使いやすいですね! スマートフォンの方が見やすいかもしれません.
- 今回は自分の所属する(中)高の内容だったので、特に勉強になりました。
- 3名の大学生も置かれた場所で教育実践を通して咲かされている気がして、とても刺激になりました。ゆとり教育になってから、日本もインテリーが戦わなくなったとの記事を拝見したことがありますので、意欲的に教育を引っ張っていく3人の姿に先に走っている私たちeducatorたちも頑張らなくちゃという気持ちにさせてくれました。日本語教育でも高校生を研究対象とした教育の実践研究はあまり見ないので、ぜひ実践を精緻化して文字化してほしいとおもました(→論文化)
- 最後のディスカッションがまたまた素晴らしかったと思います。
- 多様な意見が、大きな視点から提示されたこと
ワークショップの改善できるところを教えてください
以下,全10件です.
- 毎度、時間が厳しいですかね。
- ポジティブな発言をするというのを徹底することって、なかなか難しいなと思いましたし、ファシリテータの力が重要なんだなと思いました。Learn Wiz Oneの使い方がわかり、すごく面白かったです。
- 吉田さんに期待するのは、初等、中等、高等を含めて教育について考える場を設けることですかね。戦後、鉄鋼、船舶、半導体、家電、ITと世界に負け続け、自動車も危うい、こんな中、教育の全体像を改善しなくてはならないでしょう。
- もう少し検討していただく論点をこちらから絞ってもよかったなと思いました。
- 時間が短いです。でも短くないと参加しにくいので難しいです。
- 吉田先生も言っていましたが,ちょっとメタなコメントが多すぎたような気もしました.もう少し授業デザインの修正ということなのかと思っていました.最初に提供していたのがコースデザインだったので,情報提示の仕方の工夫で回避できたのかもなと思います.
- このままで!
- 「建設的な忌憚なき意見交換の場」という最初の説明は個人的にはとてもいいと思いました。オンラインによる勉強会や非対面コミュニケーションで最も懸念すべきところだと思いますし、今のオンライン研究の考察にも書いておりますので、毎回触れることはとても大事だと思いました。
- 最近学生さんに伺ったことなのですが、「褒め殺し」という非対面コミュニケーションによる新たな文化も生まれているようです。年始年末私もされたりしてダメージを受けておりましたが、その背景にはジェラシーやマウントを取りたいなどの心理が働いているのだと思いました。オンラインや非対面コミュニケーションが優先される時代だからこそ、相手への気遣いを大切にしてほしいと思いました。
- 何らかの手がかりから、暗中模索しながらでも、どんどん実践した方がいいと思います。
- 議論を深めるのは、この先の活動なので、このラボで問題提起でいいと思います。
振り返り
メタなディスカッションが多くなってしまったこと反省しております
今回の授業ラボは、そもそもの目的や伝える内容が適切なのか、というポイントに疑問が多く挙がったことから、講座設計というよりも、講座のメタな部分に関する議論が多くなってしまったと感じております。もう少し設計自体に関する議論も含めるようにすればよかったと反省しております。
今回は、大学生が教育力向上の取組の一環として探究学習の支援をしたいということ、まだ実践はしておらずこれから実施することを検討しているということもあり、そもそもの議論になりやすかったのかと思っております。ある意味、設計を行う前に最も重要な講座の目的や本当にニーズがある講座なのかを検討する段階だったのかと感じております。
早めにそれに気付いておき、今回の授業ラボではそもそもの議論にもなる可能性があることは事前にみなさまに伝えておいたり、ラボの最初で提示すればよかったと感じております。
大学生・大学院生による探究学習への支援は検討の余地がありそうです
当日の議論にもありましたが、探究学習でニーズがあるところは個別サポートしてくれる学生であるという一方、瀬崎さんたちが目指す大学院生の教育力向上という観点では、個別サポートが必ずしも教育力向上に合わない可能性がある点、難しく感じました。
例えば、大学院生が自分自身の研究を方法も含めて楽しく情報提供するような授業1回であれば、各学校も複数回に渡る授業よりは取り入れやすく、大学院生の教育力向上の取り組みにもマッチするように感じました。
様々なアプローチがあるかとは思いますが、これからも瀬崎さんたちの取り組みを応援しております。
授業ラボがマッチングの場となりえること嬉しく思いました
今回の講座は実際の高校の教員と話をすることが最も重要だと感じましたが、活動初期ということもあり、瀬崎さんたちはまだ高校の先生たちとコンタクトが取れていなかったようでした。その点、当日授業ラボに参加してくださった方々の中には高校の先生もいらっしゃって、瀬崎さんたちとつながったということを後日伺っております。
発表者のメリットにもなりえますし、参加者のメリットにもなりえると感じ、このようなつながりがラボをベースにして作れること嬉しく感じました。
おわりに
瀬崎さん、正司さん、明石さん、講座設計をご共有いただき誠にありがとうございました。また、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました.
これからもより良い学びの環境を提供したいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。