2021年10月8日に第3回 授業ラボ「大学における熱力学」を実施しました(開催の広報記事).
この記事では,その開催報告と振り返りを記します.
概要
「授業ラボ」では,実際に授業されている方にご登場いただき,その方の授業をより良くするにはどうすればよいのかを検討します.敬意を持って忌憚なく建設的に検討する場として,みなさまとより良い授業について考えていきます.
今回の授業は,工学系学部2年生の熱力学で,教授とシンクペアシェアを組み合わせた90分の授業でした.
趣旨説明の後に,岡崎先生から授業実践に関する発表をいただき,参加者全員で授業の良いところ,より良くできるところを検討しました.
ワークについて,グループワークのみならず,個人でワークする環境を整えました.グループワークについては Zoom を用いて,個人ワークについては,独自に開発した LearnWiz One というツールを用いて実施しました.
資料(スライド・動画など)
アンケート
アンケート結果の一部をこちらに記載いたします.参加者31名中9名の方が回答してくださいました.
ワークショップでワークを行いましたか?
- 1人でワークを行った 6名
- グループワークを行った 3名
- 視聴しているだけだった 0名
ワークショップ全体に関する評価をお願いいたします
- 非常良かった6名
- 良かった3名
- どちらともいえない0名
- 良くなかった0名
- 全く良くなかった0名
ワークショップの良かったところを教えてください
以下,全9件から抜粋です.
- 「ガニエの9教授事象」を知りました!
- 短い時間で、実際の授業の構成や工夫されている点が要領良く紹介されていて、全くの専門外でも対象の授業のイメージがなんとなくつかめました(自分は全くの専門外ですが、バイク好きなので岡崎先生の授業を受けてみたくなりました)。その上で、参加者の皆さんの意見や感想が共有されて、とても参考になりました。緻密に設計されていると思われる授業でも、たくさんの方の視点で見るとさらに改善点があるのだと感じ、「知見を共有」することの大切さを学びました。
- 授業ではグループワークをお膳立てしているが、グループワークに学生の視点で参加できた。
- グループワークが良かったです(今回初めて参加しました)。また、吉田先生のまとめ方がとてもうまく、いつも学べることがあり、参加してよかったと思います。
- 先生方が創意工夫されていることがよくわかりました。指導案をよりよくするということは学生だけでなく先生方も苦労されながらやっておられることがわかったのは私にとっては大きな収穫でした。
- 前回はグループワークで参加し,今回は個人ワークで参加しました。個人ワークも楽しいです。前回はGWでは楽しめず,モヤモヤ・・・。個人ワークも楽しい Learn Wiz 良いですね。必ずしもGWが良いとは生徒も感じてないのかな,と考えました。
- 専門分野の知識がなくてもついていけるよう工夫されていた。理系でアクティブラーニングがどのように行われているか学べた。
ワークショップの改善できるところを教えてください
以下,全7件から抜粋します.
- ワークの時間が少し短いと思いました。もう少し考える余裕がほしいです。
- 授業ラボに初めての参加ということもあり、個人ワークでの他システムへの切り替えや利用方法に少々戸惑いました。入力画面に簡単な案内・マニュアルなどの記載があると、音声案内を聞き逃した場合でも分かりやすいかなと感じました。
- 入室前の同意項目に、ちょっとびびりました。
- 中條さんがコメントされる際にはぜひお顔出しをされるとよいのではないかと感じました。
- (個人ワークとの時間調整で難しいかと思いますが)以前のようにグループに飛んでいく前に個人で考える時間があった方が個人的にはやりやすい気がします。沈黙が気まずくなんとなく話し始めて、考える時間がない気がしました。
授業実践のご共有から学べるところ
授業改善は対話である
実践を共有してくださった岡崎先生は,毎回の授業でミニッツペーパーを用いて,学生から学んだことや感想を聞いていらっしゃいました.新しい手法を取り入れるたびに,学生の感触を確認して,反応が良くなければやめたり,よかったら取り入れたりなど,柔軟にご対応されている様子が対話の中から感じ取れました.
岡崎先生が「授業改善は対話」と仰っていたのですが,そのような背景もふまえて素晴らしいお言葉だなと感じました.授業改善は教員1人で行うものではなく,学生との対話を通して行うものなのだというメッセージを感じ,今でも印象に残っています.
授業改善する上でも,学生から感想や評価を得たり,学生がどれだけ学んだかの学習評価を行い,それらを参考にすることが大事であることが,その言葉には詰まっていて,とても良い言葉だと感じました.
理論と具体をひもづける
熱力学第1法則は抽象的な概念なのですが,岡崎先生は学生の興味の対象である車のエンジンとひもづけてご説明されているとのことでした.このように抽象的な概念でも具体例とひもづけることによって,具体的なイメージを伴った理解が実現できますし,その概念の重要性も理解してもらえます.熱力学第1法則の「道具的価値」を示すことになっており,学生のモチベーションも高まる設計となっていました.
授業ラボに関する振り返り
全体的にとても良い会になりました
第2回の授業ラボの実施がうまくいったこともあり,同じ設計で授業ラボを実施しました.今回も様々な方々の意見を伺いながら,先生のご実践の良いところ,より良くできるところを参加者全員で検討できたかと思います.
グループワークの指示出しをうまくできなかった
個人ワークに気を取られてしまい,Zoom のブレイクアウトでグループワークされている方々に画面共有をし忘れるという大きなミスを犯してしまいました.
改善できるところにも記載いたしましたが,「(個人ワークとの時間調整で難しいかと思いますが)以前のようにグループに飛んでいく前に個人で考える時間があった方が個人的にはやりやすい気がします。沈黙が気まずくなんとなく話し始めて、考える時間がない気がしました。」というコメントいただいており,これは個人で考える時間であることを画面共有で明示できなかったところに原因があるだろうと考えております.
今後はこのようなことがないように,グループワーク側への指示出しも忘れないようにしたいと考えております.グループワークにご参加された方々申し訳ございませんでした.
おわりに
ご参加いただいたみなさま,ありがとうございました.
また,授業をご共有いただいた岡崎先生,また参加してくださったみなさま,本当にありがとうございました!私自身も多くの学びを得られた本当に有意義な時間でした.
これからもより良い学びの環境を提供したいと思っておりますので,引き続きどうぞよろしくお願いいたします!