9/1 開催報告と振り返り「アウトラインを活用した効率的な文章作成」

2021年9月1日に「アウトラインを活用した効率的な文章作成」というタイトルで,オンラインワークショップを実施しました(開催の広報記事).

この記事では,その開催報告と振り返りを記します.

概要

最初から文章を書くのではなく,事前に文章の構造(アウトライン)を作成することで,効率的に質の高い文章を書くことができるようになります.
今回は,そのようなアウトラインを活用した効率的な文章作成に関する LearnWiz オンラインワークショップを実施しました(アウトラインを活用した文章作成について詳しく知りたい方は http://edulab.t.u-tokyo.ac.jp/resources/#outline をご覧ください.LearnWiz について詳しく知りたい方は http://edulab.t.u-tokyo.ac.jp/learnwiz/ をご覧ください).

具体的には,まずアウトラインで物事を考えるアウトライン思考法について具体例も交えながら説明した後,実際に参加者の人に自分の「好きなもの」に関するアウトラインを作成してもらいました.

ワークについて,グループワークのみならず,個人でワークする環境を整えました.グループワークについては Discord を用いて,個人ワークについては,新たに開発した LearnWiz Collective Intelligence Tool(CIツール)(仮)を用いて実施しました.

実施やツールの開発にあたっては,東京大学文学部3年生 中條麟太郎さんに多大なるご協力をいただきました.ありがとうございました.

スライド・動画

アンケート

アンケート結果の一部をこちらに記載いたします.参加者59名中21名の方が回答してくださいました.

  • ワークショップでワークを行いましたか?
    • 1人でワークを行った 10名
    • ペアでワークを行った 9名
    • 視聴しているだけだった 2名
  • ワークショップ全体に関する評価をお願いいたします
    • 際立って良かった5名
    • とても良かった11名
    • 良かった4名
    • まあまあだった1名
    • 良くなかった0名
  • ワークショップで良かったところを教えてください(全19件から抜粋)
    • アウトライン作成はこれまでにもやってきましたが、その改善を学ぶことができました。
    • アウトライン思考法は有用だと思いました。また「ひとりで作業をする」と言う選択があってよかったです。
    • 実際にやってみるということが、本日のテーマではとても重要だったと思うので、それをワークショップ形式でハードルを下げて実施されたのが素晴らしいと思いました。一人ワークも入れていただいたこと、観ているだけ(聞いているだけ)でもいいよというメッセージもありがたいと思いました。
    • 新しいツールとその効果的な使い方が学べた。文章作成の技術としてのアウトラインを見直す機会になった。
    • 1人で作業をするという「選択肢があった」ところです。選べるのがいいです。ペアやグループワークは少し面倒だなと思っていたところに、今日はTVでパラリンピックのボッチャの決勝を見ていて、開始時間に10分遅れてしまいました。実は最初の一番大事なところを聞き逃してしまっており、ペアワークをする準備が整っていないと感じていましたので、その点でも1人という選択肢があってよかったです。1人でも他の方のアウトラインを見ながら自分のペースや好みで学ぶことができましたし、全体共有もあったので、確認もできました。1人だったのに、皆さんとワークした気分でした。
    • スライドが分かりやすかったです。
    • ペアワーク希望者とひとりで取り組みたい方とを、分けられた点。ペアワーク希望者同士で忌憚なく話し合いをすることができました。(参加者同士の熱量が同じだったので、遠慮せずにツッコミを入れる方もいらっしゃいました)
    • 学生の指導に活用できそう
    • 文章力を向上させようと、ロジカルシンキング系の本を読んでも腑に落ちませんでした。今回、腑に落ちました。さすがだなと感じました。ありがとうございます。
    • 多人数でも、ワークあり、共有あり、フィードバックあり、と、オンラインでの可能性を広げるような催しだと感じました。
    • 構成が分かりやすくてよかったです。最初にわからないであろうことを説明してくださっていたので、スムーズに受講できました。
    • 質問するサイトが別にあり、そこに書かれた質問にすべて回答してくださったことです。
    • テンポが良かった。文章書き方の指導にとても役立ちました。
    • 実際に、自分がワークショップ時間内にアウトラインを作成したところ。他の人のアウトラインを読む機会があったところ。一人でもワークに参加する設計になっていたところ。
    • この手の講座は初めましての人と話すことが多く今回も身構えていたのですが、一人で取り組める内容でも考えていただいたので非常にやりやすかったです。
    • ペアワークをしたい人、個人で取り組みたい人、両方への対応があったこと。
    • 自分のペースで書き進め、なおかつ他の人の書いたものを一覧で参照できたこと。
    • 新しいツール(Discord)を体験できたこと。
    • アウトライン思考法が実用的であることを体感できたこと。
  • ワークショップで改善の余地があるところを教えてください(全16件から抜粋)
    • 私自身授業でやりがちですが,チャネルが多過ぎて学生が混乱する(ICTスキルの低い学生が最初から脱落してしまう),教員側も情報整理で収拾がつかなくなる事態が起こります。Slidoの「いいね」順機能は捨てがたいと感じるのもわかるのですが,全体の質疑も全部Discordに集約してチャネルを絞り込むことも大事な場面もあるように感じます(勤務先ではチャネルが多過ぎると学生から も教務課からも不満の声が上がります)。
    • Discordの音声が人の声は聞こえたが、自分の声が聞こえなかった。
    • 2回目までモチベーションが継続しませんでした。どう改善したらいいか分かりませんが、もしかしたら時間配分を、1回目はながめ、2回目は短めにしたほうがいいかもしれません(トライアンドエラーで試行錯誤が必要かと)。
    • 誰を対象としたワークショップなのかを明示していただけると、参加者としては安心します。こう言っては失礼かもしれませんが、どこの誰か分からない人と一緒に作業をするのは苦手です。心を傷つけられることもあるのではと感じます。吉田先生は配慮してくださっていたと思いますが、やはりアクティブラーニングはデリケートなファシリテートが必要かと思います。発表や書き込みをみて「やはり、この人たちとグループ作業をしなくてよかった。この人とペアになっていたら、気持ち悪かったな」と正直感じてしまいました。
    • 初めて使うツールでいくつものウィンドウが立ち上がっていたので、トランジッションの際、講師の吉田さんの指示を聞き逃したり、必要なウィンドウが瞬時に探せずアクティビティの開始に手間取りました。5‐6種類のタブやアプリを行ったり来たりするのは参加者の参加環境によっては難しいのではと思います。Zoom内にSlidoなど組み込んだりできるとより便利になるのではと思いました。
    • 可能であれば、1人で作業をした際に書いた皆様のGoogleコメントを共有いただけるとありがたいです。知見やヒント、フィードバックもあったのでワークショップ後にゆっくり読んでみたいと思いました。
    • 一つの作業を始めるとzoom越しの指示が耳に入らなくなり、その時間に次の作業の説明を聞き逃してしまいます(結果、今回の2回目のワークではペアではなく一人作業をしてしまいました)。zoomとスプレッドシートなら大丈夫でも、プラスslido、dscordとなるとかなり厳しかったです(今のところは、ですが、discordでペアワークするよりzoomのブレイクアウトが私には使いやすいです)。
    • 今の大学生はマルチタスクに慣れているとはいえ、このような傾向は個人差が大きく、学習しょうがいを申告してくる学生も増えているため、教える側も時間的制限がある中で、各学生の学びをどう支援して行くか..難しい部分もあると感じました。ただし、自分が教える側の時はなかなか気づきにくいことをアクティブに学ぶことができて有意義でした。
    • 受講環境準備については事前にお知らせいただいているので、Zoom、Discord、Googleドキュメント等々を開くことができましたが、もしかすると人によっては、少々難しかったかもしれないと感じました。(ちなみに私はZoom用とDiscord用にPC2台で参加しました)
    • 自身の授業でも考えなくてはいけないと思いましたが、遅れて入ると、あれあれって感じになるんだなと感じました。細目にURLを送って頂けるといいのかなと思います。
    • 盛り沢山で、使用するツールも多く、少々混乱がありました。
    • 途中で休憩を取っていただけたらありがたいです。アウトライン・文章作成中に適宜取れという形だったと思うのですが、それだと作業に集中してしまい、なかなか難しいです。長時間だったので、ちょっと疲れました。
    • ディスコード、ほか さまざまなウィンドウを開いたためと思いますが パソコンの反応が鈍くなってしまいました。使用ツールがあまりにも多いとデバイスやwifiの状況によっては厳しい(大人数でのアクティブラーニングを想定すると特に)ように感じました。
    • 複数のツールを使いながら、アウトラインを書く、他人のアウトラインに対してコメントするのは、結構忙しかったです。一つのアプリケーションで完結していれば、あちこち見て回らなくてよいので気が散りにくいかもしれないと思いました。ブラウザのタブでそれぞれのアプリケーションを移動するのは簡単なようで、アウトラインを書く事以外の気が散る要因にも感じました。
    • たくさんのアプリやWebページをまたぐなら、スマホ一台で受けている方にはやりづらかったのではと思います。
    • 改善の余地があるというわけではありませんが、気がついたことは以下です。
      • テーマが「好きなもの」だったので、「こと(活動)」ではなく「もの」?と、少しだけ戸惑った。
      • 「好きなもの」だと自己開示の要素が入りがち。例えば個人の興味関心に関わるテーマでも「興味があるニュース」「気になった記事」などだと、客観的に解説するモードで書けそうなので、テーマが選べるとよいかもしれない。
      • 目的をはっきりさせるということをすっ飛ばして、書きたいことを書いたので、自己分析をするようなプロセスになった。他の人が書いたアウトラインを見て、「自分の好きなものの魅力を他の人に理解してもらう」という方向性が主流だと気がついた。

振り返り

ワークの形式について

前回実施したワークショップの反省を活かして,今回のワークショップでは,グループワークだけではなく,個人でのワークのみで完結できるような仕組みを設けました.アンケート結果からもその仕組みはかなり好評でした.特に相手の見えない環境におけるグループワークはハードルが高い可能性があり,1人でもワークすることを許容する仕組み作りは,大規模なオンラインにおけるワークショップにおいては重要であるように感じました.

そのため,今後は個人ワークしてもよし,グループワークしてもよし,といった環境を上手く作っていくことを目指したいと思っています.

Discord について

Discord でのグループワークにおいては音声トラブルが多く起こりました.そのため,残念ながら話せずにワークを離脱せざるを得なかったグループが一つありました(大変申し訳ございませんでした).そこで,今後は以下の対応をとりたいと考えております.

  • 事前にマイクとスピーカーのテストを行う方法を具体的に説明する(実際ページを作りました)
  • 音声トラブルがあったときの具体的な対応方法を説明する(実際ページを作りました)

できるだけ音声トラブルがないような準備をこちら側も丁寧にお伝えして,今後進めていきたいと考えています.

LearnWiz CI ツール(仮)について

今回 LearnWiz Collective Intelligence Tool(CIツール)(仮)という,大人数のコメントを上手く集約するツールを初めて導入しました.CI ツールを説明する上では,その背景から説明する必要があるので,背景を説明し,CIツールでできることを紹介した後に,今回CIツールを使った感想を書きたいと思います.

【CI ツールを作ろうと思った背景】
30人以上が参加するワークショップを実施して,それぞれの参加者から自由記述のコメントをもらうと,当たり前ですが30以上のコメントが来ることになり,一つ一つをじっくり確認することが難しくなってしまいます.実際,ワークショップ中にコメントを Web フォームなどでもらっても,それぞれをじっくり確認できないので,講師としてはぱっと目についたものを選ぶということをせざるを得ません.それって,多くの参加者が一生懸命打ってくれたコメントを最大限活かせていないな,と残念に思うことが多くありました.

【CI ツールの機能】
そこで,以下のような機能をもつツールを作れば,上手く参加者全員のコメントを参加者全員が相互に確認できて,さらには良いコメントを浮き上がらせることができるのではないかと考えました.

  • 参加者は他の参加者のコメントを数件ずつ確認する(いきなり30人など全員分のコメントを表示すると圧倒されてしまうので)
  • 他者のコメントでみんなに紹介したいと思ったら,そのコメントに対して「いいね!」を押す
  • 「いいね」の情報を元に,参加者の多くが良いと思ったコメントを人気順に表示でする(みんなの総意を浮き上がらせることができる)

中條さんの尽力もあり,無事 CI ツールが完成しました.

【CI ツールを使った感想】
今回,ワークショップで使った感想としては,悪くはないんだけど想像していた夢のような結果とはちょっと違ったというものでした(もちろんワークはしていたと思うので導入してよかったとは強く思っています).

もう少し説明すると,これは素晴らしいコメントだなー!というコメントが隠れずに浮き上がってくることを期待していたのですが,コメントを人気順に上から全部読んでみると素晴らしいコメントがまだまだ埋もれてしまっている状態でした.

そこで,今後はその原因を考えて,より良いツールになるようにインストラクションも含めて検討していきたいと思っています.

また,「2回目までモチベーションが継続しませんでした」というコメントがあるように1人ワークでは,自分が作ったものに対するフィードバックがないことがおそらく原因で,ワークを上手く継続できない仕組みになってしまっていたように感じました.そこで,今後は投稿したコメントに対して相互にフィードバックできる仕組みを設けて,一人ひとりにフィードバックが返る機能を実装したいと思っています.

おわりに

今回は色々と新しい要素があり,改善点ももちろんあるのですが,概ねうまくいき嬉しく思っています.ご参加いただいたみなさま,本当にありがとうございました!