前回の記事に引き続き,2021年8月16日に実施したワークショップ(記事)の中で,学生が作ってくれたアウトラインを対話をしながら改善することで得られる知見が多かったので,ここで紹介したいと思います.
文章作成のテーマとアウトライン案
文章作成のテーマは「自分の好きなもの」で,相手に自分の好きなものを伝える文章を作ってみよう,というものでした.学生 B さんが選んだのは「オリンピックとグラフィックデザイン」で,オリンピックのグラフィックデザイン(例えばポスターやエンブレム)についてあまり知らない人に関心を持ってほしい,ということでした.そして,出てきた暫定的なアウトラインは以下のものでした(ワークの時間設定が長くはなかったので未完成であること,改善の余地があること,念のためお伝えしておきます).
また,この後アウトラインの改善をしていくので,是非アウトラインを見ながらどの点が改善できそうかを考えてみましょう.そうすることで,アウトライン改善案に対する理解も深まるかと思います.
- 具体例
- 目立つもの
- ピクトグラム
- エンブレム
- ポスター
- 目立ちにくいもの
- 駅や競技場でのサインシステム
- IDカード
- などなど
- 目立つもの
- 特徴と魅力
- クオリティが高い
- 国民の関心が高い and 世界的な関心も高いから
- (特に非英語圏での大会においては)非言語的なコミュニケーションの一端を担うから
- 一つのデザインがさまざまな媒体に展開される様子が面白い
- 作成するクリエイティブの量が多い,かつ統一していることが求められる
- クオリティが高い
- まとめ
- 試合を見るだけでない,別のオリンピックの楽しみ方
- オリンピックの開催国に住んでいるからこそ楽しめる => ぜひ街中で気に留めてみてください
- もっと詳しく知りたかったらここをお勧めします
アウトラインの改善
上記のアウトラインを見ても,もちろんオンリンピックにおけるグラフィックデザインについて興味がわくのですが,もっと改善できるような気がしました.アウトラインを見た印象は以下のとおりです.
- 最初から「具体例」が提示されると,読者としてはなぜその具体例が提示されているのかわからないかも?
- 「特徴と魅力」と「まとめ」はわかりやすくて良さそう
そこで,学生 B さんになぜ具体例を最初にもってきたのかを聞いてみたところ,オリンピックのグラフィックデザインといってもイメージがつきにくいから,イメージしてもらいたくて,要素を配置したということでした.そこで思ったことは,現在のアウトラインだと具体例を体系的に紹介しようとしているのですが,イメージを付けてもらいたいということであれば,もっと要素を少なくできる気がしました.その考えをベースに,以下のような改善案を提示しました
- オリンピックにおけるグラフィックデザインの簡単な説明
- ピクトグラム,エンブレム
- 魅力
- クオリティが高い
- 具体例で詳細な説明
- 一つのデザインがさまざまな媒体に展開される様子が面白い
- 具体例で詳細な説明
- クオリティが高い
- まとめ
- 試合を見るだけでない,別のオリンピックの楽しみ方
- オリンピックの開催国に住んでいるからこそ楽しめる => ぜひ街中で気に留めてみてください
- もっと詳しく知りたかったらここをお勧めします
最初に簡単に例を説明した上で,魅力を語る時に具体例についてより詳細に説明すればよいのではないか,というコンセプトでアウトライン改善案を作りました.
この改善案は学生 A さんにも受け入れられ,他の参加していた学生にも受け入れられているようでした.
今回の学び
前回の記事と同様,アウトラインを作る際,アウトライン自体の見た目が構造的なため,情報を体系的に構造的に列挙したくなるのですが,具体例や情報を列挙する際は,情報を提示する目的を考えて,本当にそれほどの情報量を提示する必要があるのかを検討することが大事である,というものが今回の大きな学びです.
それぞれの要素について,本当にこの要素はここに必要なのか? この場所にないといけないのか? を自問自答していくことによってより良いアウトライン作りになるという気付きが得られました.学生 B さん意義ある気付きをありがとうございました!