学習評価ハンドブックが大学教育学会の選定図書になりました

吉田が監訳を務めた「学習評価ハンドブック ―アクティブラーニングを促す50の技法」が大学教育学会のJACUEセレクション2021(2020年度認定図書)になりました.

実は本書,重版にもなっており,多くの方に読んでいただいているようで嬉しい限りです(本当は価格を抑えたかったところなのですが).

以上になりますが,せっかくなので最後に,本書に対する思いを記述した 2020年4月18日の Facebook 投稿を転記します.

監訳者として携わった書籍「学習評価ハンドブック: アクティブラーニングを促す50の技法」が刊行されました!
http://www.utp.or.jp/book/b497135.html

原著はエリザベス・F・バークレイ先生とクレア・ハウエル・メジャー先生が書かれた Learning Assessment Techniques: A Handbook for College Faculty です。
学習評価の考え方やデザイン方法に加えて、50の技法がわかりやすく紹介されており、是非翻訳したいと思っており、無事刊行できたこと嬉しく感じています。

技法の紹介においては、具体的な準備、実施、結果の分析・集計の方法が載っているのに加えて、実践例が詳しく説明されています。
技法を紹介する時、ただ一般的な流れを説明するだけでは「じゃあ実際に授業に組み込む時どうするの?」となりやすいのですが、具体的な実践例があるおかげで、技法の活用がよりイメージしやすくなっています。
また、教室での実践例のみならずオンラインでの実践例についても紹介されていることから、授業のオンライン化が必須になってしまった現状にも、幸か不幸か対応できるものとなっています。
そのような本書は、教育の実践者にとって参考になる情報が多く記載されているため、幅広く活用していただきたいと思っています。

ただ、多くの方に手にとっていただくため、できるだけ価格を抑えられるよう努力したのですが、残念ながら気軽に手を出せる価格にならなかったこと、大変心苦しく感じています。
具体的には、読みやすさを損なわずに1ページに文章が多く入るようにページのレイアウトを工夫してもらったり、訳者全員がその想いに賛同してくれたことから全員印税を放棄したり(訳者の方々本当にありがとうございました)とできる限りの努力をしたのですが、それでも全ての教育実践者の手元へとはいかない価格かな、と思っています(実は当初提示されていた価格より現価格はかなり抑えられてはいます)。
そこで、学校、学部や学科で1冊用意していただき、その情報を共有していただいたり、評価について教員同士で対話するきっかけとしていただければ幸いです。

ここで、価格を抑える方策として、(1)分冊にする、(2)抄訳にする(全てを訳すのではなく部分的に訳す)ことも検討しましたが、以下で説明しますようにいずれも断念しました。
(1)分冊に関して、学習評価の考え方やデザインに関する説明が本書の第1章から第6章の50ページほどであるのですが、これらと各技法の説明(第7章~第12章、各章60ページほど)は密接に関わっていて、切るにも切れませんでした(分冊にしたとしても本書の良さが大きく減ってしまうと判断し、分冊にしませんでした)
(2)抄訳に関しては、一言で「削る部分がなかった」(削ったとしたら本書の良さが大きく減ってしまう)です。それぐらい本書の内容はどれも欠かせないものになっています。

本書を出版するにあたって、東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 附属教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門の先生方、栗田佳代子先生、浅岡凜さん、中村長史さん、正木郁太郎さん、ベナー聖子さん、東京大学出版会(当時)の住田朋久さんにご協力いただきました。本当にありがとうございました!

すみません、かなり長くなってしまいましたが、つまりは「良い本ができたので、是非チェックしてみてください!」「高くてごめんなさい!(この価格でも実は努力しました)」ということです(急にざっくり)。今は学内の授業のオンライン化支援でほとんど時間がとれませんが、落ち着いたら本書に関する公開オンラインワークショップとかもやりたいな、と思っています。

みなさま、このようなご時世なので、お体には気を付けてお過ごしください。
よく食べ、よく運動して、よく寝ましょう!(自戒の念も込めて、特に運動)

2020年4月18日 Facebook 投稿